Saturday, October 24, 2020
こんにゃく問答
<こんにゃく問答>というのは<こんにゃく>みたいにとらえどころのない問答と思っていた。実際には聞いたことも、使ったこともなかった。たまたま香港人の友人から<<こんにゃくとは何だ?>ときかれたので、よく<おでん>にはいっている特に味のない、とらえどころのない食べ物、と答えておいた。今は一般的なことならネットでなんでもすぐに調べられるので調べてみた。<こんにゃく>についてはネットでは詳しい説明がたくさんある。今書いたようにネットでなんでもすぐに調べられるので友人の<こんにゃくとは何だ?>は<こんにゃく問答とは何だ?>ではないかと思って、日本語以外ならあまり一般的でない<こんにゃく問答>を調べてみた。調べたところ、<こんにゃく問答>は落語の題名で<とらえどころのない問答>ではないのがわかった。しかしこれまでの長いまちがった思い込み<とらえどころのない問答>でもよさそうな気がする。これまた今はネットで落語が聞ける、見れるのでさっそく落語の<こんにゃく問答>を聞いてみた。この落語の最後のオチは手のジェスチャーなので、聞いただけではオチがわからない。つまりビデオか実演を見ないとわからないのだ。そこでほかのの落語家のビデオを見てみた。内容はこんにゃく屋が、ある事情から坊主(禅宗か)になりすまして本物の坊主と問答(禅問答か)するというもの。そして問答の最後にオチとして<こんにゃく>がほんの少しだけ出てくるだけだ。したがってこの落語は<こんにゃく問答>は間違いではないが、<こんにゃく屋(の)問答>の方がいいだろ。<こんにゃく屋(の)問答>であったら、私の思い違いはなかっただろう。
少し前のポスト<とうなす(唐茄子) / カボチャ>のなかで落語の<唐茄子屋政談>に触れた。内容は<政談>からはかけ離れていてなぜ<政談>というのかよくわかなない。
<こんにゃく>はコンピュータワープロで<蒟蒻>と出て来る。まあ書ける人はいないだろう。漢字を使わず<こんにゃく>と書いても教育程度は疑われない。だが漢字を無視しても<こんにゃく>は純やまとことばではないだろう。
現代中国語(北京語、普通語)の発音(ピンイン(発音記号)は jǔruò なので<こんにゃく>とかけ離れている。しかし漢字をよく見ると<蒟蒻>で草かんむりは植物をあらわし、草かんむりの下が発音や意味を示す。二番めの下は<弱>で現代日本語では<じゃく>。<じゃく>は jaku 。<j>は<i>に近い。<じゃく>は<いゃく>に近い。まえの語が<n>で終わっていればリエゾンで<にいゃく>ー><にゃく>になる。問題は前の<蒟>で、発音は<句>がになっていると考えられる。現代中国語(北京語、普通語)の<句>の発音は<ju>でこれは上の<jǔruò>の<jǔ >だ。<ju>と<こん>はまったく違うように見える。一方広東語の<句>の発音はgau (かう)。似た字に狗(犬のこと)があり、こちらのほうは北京語で gou(こう)広東語で gau(かう)と発音する。<句>の発音はgau (かう)は<こう>とも聞こえる。もっと正確には<かう>と<こう>の中間。二つ合わせると
こう+やく -> こうやく
近くはなるが<う>と<ん>が大いにちがう。昔の日本人の耳はテレビやビデオがなかったせいか現代人の耳よりよく、中国語の n と ng を聞き分けていた。 n は<ん> ng は<う> と聞き、書いていた。だが、gang を<かう>と聞き、書くのならいいが gau(かう)、gou(こう)は<こん>にならない。
もう少調べてみた。
ネット辞書では<「菎蒻」とも書く。>とあり、これならたいした解説なしに<こんにゃく>になる。だが中国語版Wikiでは
”
日本稱為「菎蒻」(片假名:コンニャク)
”
とあるので、本家の中国では昔から蒟蒻のようだ。こういう詮索は一種の<こんにゃく問答>だろう。
sptt
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