Monday, October 12, 2020

勾配(gradient)のやまとことば -2 <めき>

 

だいぶ前に<勾配(gradient)のやまとことば>というポストをかいているが、結論めいたものは


個人的には

勾配(gradient)= 空間における任意の(スカラー)量の<向きごとの傾き具合>

が日本語らしい。

” 

さて前回のポスト ”微分のやまとことば<め>” を書いているうちにもっとやまとことばらしい勾配(gradient)相当の語を発見した。わずか二音節の<めき>だ。<めき>は単独では日本語として認知されていないが、勾配(gradient)の有力やまとことばだ。<めき>は動詞<めく>の連用形で、この場合は体言(名詞)用法だ。<結論めいた>の<めいた>も関連語だ。<めく>、<めき>の用例を探してみる。

<めく>

春めく、秋めく

<夏めく>、<冬めく>も可能だが、寒い冬から暖かい春への変化を示す<春めく>、暑い夏から<暑さがやわらぐ>秋へに変化を示す<秋めく>)はいが(<涼しい>は夏の季語なの細かいことを言えば<涼しい秋>はおかしい)、暖かい春から暑い夏、<暑さがやわらいだ>(涼しい)秋から寒い冬への変化はどうもしっくりこない。気温は基本的に<暑い>と<寒い>だ。

ざわめく - ざわめき   擬音語 ざわざわ
ときめく - ときめき    擬音語 どきどき
ひらめく - ひらめき    擬音語 ひらひら   <広い>は関連語か?
はためく - はためき    擬音語 ぱたぱた   旗(はた)の
関連語か?

以上の擬音語由来と思われる<xx めく>は勾配(gradient)とは関連がすぐには思いうかばない。<ひらめく-ひらめき>はこの<思いうかぶ>に関連しているのはおもしろい。

うごめく - これは<うごく>+<めく>だが特別の意味がある。
めくるめく - これは何だかよくわからない。

<めく>は慣用句だけでなく、一般用法がある。

うそめくが、うそめいた話。
話はだんだん謎めいてきた、本当めいてきた、真実めいてきた。
あたりはだんだん都会(いなか)めいてきた。
結論めく

意味としては<xx のように見える、聞こえる>が近い。接続は<体言(名詞)+めく>だ。そして<だんだん>と相性がいい。<だんだん>の英語には<段々>の直訳に近い step by step があるが gradually とういのもある。

めきめき - 目に見えて   太郎は最近めきめき学業成績(販売実績)が上がってきた。
めっきり - 目に見えて   花子は最近めっきりやせてきた。

(用例探し継続予定)

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さて、勾配(gradient)の意味で示唆的なのは<春めく>だ。また勾配(gradient)の公式訳語<勾配>関連のやまとことば<傾き(かたむき)>の<向く(むく)>、体言(名詞)の<向き>も大いに関連がある。

向く(むく) - めく
向き(むき) - めき

<春めく>の<めく>は<気温が上がり傾向(上がり向き)>になること、日(日照時間)も長くなっていく(傾向の)ことだが、部分的ではなく全体的な徐々(だんだん)の変化を表わす。前回のポストの

勾配(gradient)= 空間における任意の(スカラー)量の<向きごとの傾き具合>

に<空間>の字がある。<勾配、傾き>だけではこの<空間>が想像しにくい。勾配、傾き>は二次元(面)での線の勾配、傾き>、三次元での面の勾配、傾き>が想像される 温度は大体三次元スカラー量で方向(向き)がない。スカラー量の違いに<向きと傾き(変化)具合>を与える作業がgradient だ。与える作業>とすると<めく>の他動詞で<めかす>というのがあるが、<xxのように見せる>が原意にあり、gradient から離れてしまう。

<めく>の体言(名詞)形<めき>はgradient の日本語訳の候補になる 日本語として認知されていないので権威はないが、新鮮味とやまとことばみ、らしさ>があり、勾配よりはいいのではないか?。

 

 sptt 

 

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