だいぶ前に<勾配(gradient)のやまとことば>というポストをかいているが、結論めいたものは
”
個人的には
勾配(gradient)= 空間における任意の(スカラー)量の<向きごとの傾き具合>
が日本語らしい。
”
さて前回のポスト ”微分のやまとことば<め>” を書いているうちにもっとやまとことばらしい勾配(gradient)相当の語を発見した。わずか二音節の<めき>だ。<めき>は単独では日本語として認知されていないが、勾配(gradient)の有力やまとことばだ。<めき>は動詞<めく>の連用形で、この場合は体言(名詞)用法だ。<結論めいた>の<めいた>も関連語だ。<めく>、<めき>の用例を探してみる。
<めく>
春めく、秋めく
<夏めく>、<冬めく>も可能だが、寒い冬から暖かい春への変化を示す<春めく>、暑い夏から<暑さがやわらぐ>秋へに変化を示す<秋めく>)はいが(<涼しい>は夏の季語なの細かいことを言えば<涼しい秋>はおかしい)、暖かい春から暑い夏、<暑さがやわらいだ>(涼しい)秋から寒い冬への変化はどうもしっくりこない。気温は基本的に<暑い>と<寒い>だ。
ざわめく - ざわめき 擬音語 ざわざわときめく - ときめき 擬音語 どきどき
ひらめく - ひらめき 擬音語 ひらひら <広い>は関連語か?
はためく - はためき 擬音語 ぱたぱた 旗(はた)の関連語か?
以上の擬音語由来と思われる<xx めく>は勾配(gradient)とは関連がすぐには思いうかばない。<ひらめく-ひらめき>はこの<思いうかぶ>に関連しているのはおもしろい。
うごめく - これは<うごく>+<めく>だが特別の意味がある。めくるめく - これは何だかよくわからない。
<めく>は慣用句だけでなく、一般用法がある。
うそめくが、うそめいた話。
話はだんだん謎めいてきた、本当めいてきた、真実めいてきた。
あたりはだんだん都会(いなか)めいてきた。
結論めく
意味としては<xx のように見える、聞こえる>が近い。接続は<体言(名詞)+めく>だ。そして<だんだん>と相性がいい。<だんだん>の英語には<段々>の直訳に近い step by step があるが gradually とういのもある。
めきめき - 目に見えて 太郎は最近めきめき学業成績(販売実績)が上がってきた。
めっきり - 目に見えて 花子は最近めっきりやせてきた。
(用例探し継続予定)
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さて、勾配(gradient)の意味で示唆的なのは<春めく>だ。また勾配(gradient)の公式訳語<勾配>関連のやまとことば<傾き(かたむき)>の<向く(むく)>、体言(名詞)の<向き>も大いに関連がある。
向く(むく) - めく向き(むき) - めき
<春めく>の<めく>は<気温が上がり傾向(上がり向き)>になること、日(日照時間)も長くなっていく(傾向の)ことだが、部分的ではなく全体的な徐々(だんだん)の変化を表わす。前回のポストの
勾配(gradient)= 空間における任意の(スカラー)量の<向きごとの傾き具合>
に<空間>の字がある。<勾配、傾き>だけではこの<空間>が想像しにくい。<勾配、傾き>は二次元(面)での線の<勾配、傾き>、三次元での面の<勾配、傾き>が想像される。 温度は大体三次元のスカラー量で方向(向き)がない。スカラー量の違いに<向きと傾き(変化)具合>を与える作業がgradient だ。<与える作業>とすると<めく>の他動詞で<めかす>というのがあるが、<xxのように見せる>が原意にあり、gradient から離れてしまう。
<めく>の体言(名詞)形の<めき>はgradient の日本語訳の候補になる。 日本語として認知されていないので権威はないが、新鮮味とやまとことば<み、らしさ>があり、勾配よりはいいのではないか?。
sptt
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