Friday, October 2, 2020

とりあえず xx (し)ておく



<とりあえず xx (し)ておく>はかなり頻繁に使われる。漢語では応急処置がこれに似ている。英語では一語の副詞 temporarily というのがあり、これで間に合わせられるようだ。temporarily に相当する中国語は<暫時>でよく耳にするが、日本語ではまれにしか聞かない。

例文

今日はとりあえずここまでにしておきましょう。
とりあえずうまくいった(成功した)ことにしておきましょう。
とりあえず<よし>ということにしましょう。

生死にかかわるゆゆしき場面だが

とりあえず生かしておくことにしよう。

後半の< xx (し)ておく>がない場合もある。

とりあえずちょっと見に行ってきたらどうだ。
とりあえず<よし>としよう、しましょう。
とりあえず生かしておこう。

まず前半の<とりあえず>だが、ややこしい。<あえてとらず(に)>と違った否定(ず)になっているが、  <あえてとらず(に)>の意味とすると、<とりあえず>の<とる>は本来(時間があれば)すべきことの決定、そして実行することのことだろう。<あえず>なので<あえてそれを(決定)実行をしない、(時間がないので)できない>ことだ。<あえて実行はしない、できない>(が、別のことをする、しておく)、とも解釈できる。だが<あえてとらず(に)>ではなく<とりあえず>という。

かなり込み入っている。

手もとの辞書では(かっこ)内に(取るものも取らないで)とあるが、そうではない。<取るものも取らないで>は次の<とにかく>に近い。<取るべきものも取らないで>とすると<とりあえず>に近くなる。

似たようなのに<とにかく>、さらには<とにもかくにも>というのがある。これまたよく使うがいったいどういう意味か。

とにかく、すぐに見に行ってきたほうがいい。
あれこれ言わずに、とにかく、これだけはすましておいたほうがいい。 

<とにかく>は<<とりあえず>より差し迫(せま)った状況下で、本来すべきことの判断、決定、実行もふくめて、あれこれ考えずに(<xxする>)。

<とにもかくにも>は似て非なるもので<とりあえず>とは直接むすびつかない。

後半の<xx(し)ておく>は<とりあえず>以上に複雑、というかいろいろなシチュエーションが考えられる。<とりあえず>とはほぼ対称的な

万全を期してそなえておく、準備しておく。
いつ客がきてもいいように、材料だけは準備しておく
いつ敵が攻めてきてもいいように、守りを固めておく。

といった言い方でもつかわれる。準備と相性がいいようだが、

 xx (し)ておく = 準備する

でもよさそう。簡易辞書ではこのような言い換えの説明で済ましておくかもしれない。この<言い換えの説明>は次善策で最善策ではない。やまとばでは<そなえる>。蛇足ながら<そなえる>は 

古語<そなう>(自他兼用動詞) ->そなわる(自動詞)、 そなえる(他動詞)

でいい言葉だ。 漢語の準備は現代中国語でもよく使われる。

準備好。準備好不好?

準備の意味は次善策の<言い換えの説明>では<xxに準じて備(そな)える。

< xx (し)ておく>は次回のポストで再度もう少し詳しく検討。多分に法事項がらみとなるので sptt Notes on Grammar の方のポストでする予定。

さて、この複雑ともいえる言い方は広東語にある。多分普通語の北京語にもあるだろう。 <とにかく>の方はないが<xx しておく>は<住>の一語ですませる。

唔好去住。  行かないでおく。正確には<行かないでおいた方がいい。>で、本来すべきことの判断、決定、実行との比較がされている。

これは往々にして <暫時>が頭にきて

暫時、唔好去住。

暫時、hold 住。 (とりあえず、pending にしておく。)

英語をまぜてしゃべる人が多い。

 

sptt

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