<うしろめたい>はいかにもやまとことばの響きがあるが、意味内容は複雑だ。<良心の呵責>とか<罪の意識>の意で解釈していた。最近中国の現代メロドラマを携帯で見ているが、中国語の字幕がでるので、最近は1/3くらいは筋を追えるようになった。幸い話はパターン化していて、そのうち飽きてしまうのではないかと思っているが、現代中国語の勉強として見ている。耳で聞いてわかるのは簡単な日常会話レベルの言い回しくらいで、字幕を追わないと筋が負えない。
最近<心虚>という語に字幕で出くわした。発音は xīn xū だが耳で聞いたのでは、普通のスピードで話すので聞き取るのはムリ。ネット辞書で調べてみると
baike.baidu は医学用語の解説は詳細だが、日常用語としての解説は簡単。
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1も2も<良心の呵責>とか<罪意識>の意はない。
台湾辞典では
https://dict.revised.moe.edu.tw/dictView.jsp?ID=108846&la=0&powerMode=0
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心虚 xīnxū
- 自知理虧而內心害怕不安。後略
- 謙虛不自滿。《列子.仲尼》:「南郭子貌充心虛。耳無聞,目無見,口無言,心無知,形無惕。往將奚為。」後略
- 中醫泛指心臟的氣血不足,容易心悸、短氣、健忘、胸悶、盜汗等。亦稱某些心律不整、神經衰弱的症狀為「心虛」。
”
1は baike.baidu の1とほぼ同じ。
2は <虚心坦懐>の<虚心>に通じる。列子からの例文 (謙虛不自滿) があるので、古い意味での<心虚>だ。
3は中国医学での解説。 これも古い意味での<心虚>だろう。
英語入りの解説では
https://www.zdic.net/hans/%E5%BF%83%E8%99%9A
心虚 xīnxū
(2) [lacking in self-confidence; diffident]∶ 缺乏自信
ここで英語の方では1で guilty conscience (良心の呵責、罪意識) が出てくるが、中国語の方は上の二つの中国語辞典の1と同じだ。これはどうしたことか?
この種のメロドラマでよく出てくる心理、感情の言葉は欺负 (qīfu) と委屈 (wěi qu)。
欺负 (qīfu) は
いじめ、いじめる。(これは行為だが<いじめられる>とすれば心理、感情の言葉になる)
委屈 (wěi qu) は
(不当な仕打ちに対して)不満である,無念である,残念である,くやしい,やりきれない。
メロドラマは欺负 (qīfu) と委屈 (wěi qu) を中心に進んで行き、勧善懲悪で<いじめた>者が制裁を受け、不当な扱いを受けた者が助けられる。こういうドラマを見ていると中国人は<良心の呵責>とか<罪の意識>が薄いのではないか思う(昔からそう思っている)。
さて<うしろめたい>だが、日本語のネット辞典でチェックしてみると、簡単な辞典では
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https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%BE%8C%E3%82%8D%E3%82%81%E3%81%9F%E3%81%84/
1 自分に悪い点があって、気がとがめる。やましい。「親友を裏切ったようで—・い」
「我なからむ世など—・し」〈落窪・二〉
3 油断がならない。気が許せない。
「是ほど—・う思はれ参らせては」〈平家・二〉
1. 做错了事,怕人知道或拆穿而内心不安:做贼心虚。
做错了事:間違いをしたこと怕:恐れる
人知道:人が知る(ことになる)
拆穿 chāi chuān:1) 嘘を暴く。 2) 事実を明らかにする。 3) 嘘を見抜く。
做贼 zuò zéi: · 释义. 造反;抢劫;剽窃;偷东西(強盗、泥棒などをする)
は日本語辞典の2にやや近いが、かなり違う。 中国語の解説からすると
失敗や悪いことをしても、まず人に知られることが不安なのだ (心が虚と感じる) 。
また、補説のように中国語では元来
心虚はやましい気持ちを含まないのだ。(これは日本語の<うしろめたい>も同じ)
<うしろめたい>の語源
これは複雑で、調べてみたら2018年に ”<うしろめたい>の語源” と続いて ”<うしろめたい>の語源-2” いうポストを書いている。読み返してみると諸説ある。
では<良心の呵責>とか<罪の意識>の意の中国語はないのかというと、相当する言葉はある。第一は<内疚 nèi jiù>。baike.baidu の解説は
内疚 nèi jiù:对一件事情或某个人心里感到惭愧而不安的一种心情。
<疚>の第一義は<長期生病 chronic disease>で、第二義として<心の痛み>があるようだが、<良心の呵責>とか<罪の意識>に相当近い意味ではふつうは<内疚>の二語。内疚は小説では出くわしことがあるような気がするが、最近見ているメロドラマではまだ出くわしていいない。
https://zd.hwxnet.com/search/hwxE7hwx96hwx9A.html
疚
1.长期生病。2.忧苦,特指因自己过失而造成的心内痛苦:负疚。内疚。愧疚。歉疚。内省(xǐng )不疚。
chronic disease, sorrow
惭愧は日本語になっている。<ざんき>と発音し<慙愧の念に堪えない>という決まり文句がある。意は<うしろめたい>ではなく<残念>の意に近い。
似たような言葉に<咎>がある。これは<疚>と同じ発音で<jiù>。<咎>は訓読みの大和言葉は<とが>。<気がとがめる>はは自動漢字変換では<気が咎める>と出てくる。中国語で<咎>に出くわしたことはないので、あまり使われないのだろう。
<良心の呵責>とか<罪の意識>の意相当の中国語の第二は<良心>。baike.baidu の<良心>解説は
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2. [Synderesis]∶对道德行为主要原则的先天知
"
1で個人的な Conscience、内疚が出てくる。2は社会的な道徳色が濃い。
<良心>は上で述べてきたメロドラマで時々でてくる。内疚ほど個人的、内面的な感情はないが、その分中国的な<うしろめたい>と言える。
sptt
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