<いたみいる>は実際聞いたことも使ったこともない。初めて出くわしたのは若いとき読んだモリエールの喜劇の文庫本のなかにあったのをねぜかよく覚えている。特に解説がなくても
いたみいる = ありがとうございます
と推測できた。元の意味は<痛みが身に入る>。<痛みが身に入るほどありがたい>、さらには<ありがたみが身にしみます>でかなり大げさな言い方だ。
<おそれ入る>の方はよく聞く。<おそれ入る>は多義語で、よく使われるのは
おそれいりますが、東京駅へどう行けばいいのでしょうか?
君が美人のあの花子と結婚するとはおそれいった。(おどろくほど予期しないことに遭遇したときに使う)
<ありがとう>の意味では
今回はたいへんな苦労ををしていただき、おそれいります。
ネットで調べてみると
”
デジタル大辞泉 「恐れ入る」の意味・読み・例文・類語
おそれ‐い・る【恐れ入る/畏れ入る】 [動ラ五(四)]
1 相手の好意などに対して、ありがたいと思う。恐縮する。「ご厚情のほど―・ります」
2 相手に失礼したり、迷惑をかけたりしたことに対して、申し訳なく思う。「恐れ入りますが」の形で、ものを頼んだり尋ねたりするときなどのあいさつの言葉としても用いる。恐縮する。「ご心配をおかけして―・ります」
3 あまりのことに驚き入るばかりである。
㋐相手の才能・力量に太刀打ちできないと思う。脱帽する。「―・った腕前だ」
㋑物事のひどさにあきれる。「あれで秀才とは―・るよ」
4 非常にこわがる。
「この法師いよいよ―・りたり」〈著聞集・一七〉
”
とある。元の意味は<おそれが身に入る>で、4番目の<非常にこわがる>が近い。
1 相手の好意などに対して、ありがたいと思う。恐縮する。「ご厚情のほど―・ります」
<おそれ入る>が<ありがたいと思う>、<ありがとう>の意味になるのは複雑だ。大体は<予期しない、おどろくほどの好意がなされた場合>だろう。したっがて、大したことのない、ちょっとした、礼儀的な好意、親切、助けの場合はまず使わないだろう。また上位の者が下位にの者に示す好意の場合で、字面には出てこないが一種の敬語だ。
sptt
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