<うらやましい>は形容詞で、動詞は<うらやむ>。<やむ>は<病む>の意のようだが、問題は<うら>だ。関連語には<うらむ>、<うらめしい>がある。言葉の短さからして<うらむ>が本命の語と見られる。ネットでチェックしてみると<うら=心>と言うのが散見される。だが三音節で少し長いが<こころ>という動かしがたい言葉があるので、<うら=心>と単純ではないだろう。また<こころ>と<うら>で発音がまったくちがう。<うら>は多義語だが(主に派生した意味)
表と裏の<うら>
が本義と見られるが、<こころ>と関連させれば
<こころのうら>、<こころにかくれている>状態をあらわし
うらがなしい
うらさびしい
の説明がつく。
<うらを見せる>は
かくしごと、はかりごと、心のうらにかくれている / かくしている本音 (ほんね) を表にだす。 <裏切り>はこれに関連した言い方ではないか。
<うらが見える>は
かくしごと、はかりごと、本音が表にでてくる、わかってしまう。
裏町、裏道、裏通り、裏街道、裏口、裏方、裏金、裏工作、裏口入学、裏技 (うらわざ)
は表 (おもて) 立って見えない場所、ヒト、モノ、行為だ。
さらには、説明が難しい<うらをかく>。<うら目に出る>という慣用的な言い方がある。
さてタイトルの<うらやましい>に戻って、<うらやましい>は<うらやむ>の形容詞版といっていい。日本語の大きな特徴だが。三人称の場合は、<うらやむ>が使えない。
<太郎をうらやむ>の意での形容詞用法として
太郎がうらやましい、太郎はうらやましい
は問題ないが、太郎が<うらやむ>の場合は
太郎はうらやむ、太郎がうらやむ
は変、またはダメで、普通は
太郎はうらやましがる、がっている太郎がうらやましがる、がっている
となる。あえて<変、またはダメ>な理由を探すと、太郎の<こころのうら>は普通見えないからだろう。やまとことばの繊細なところと言える。
<うらやましい>、<うらやむ>は envious、to envy で、それほどシリアスな問題にならないが、<うらむ>となると、シリアスな問題になる。
漢字変換では
うらやましい ー 羨ましい
うらやむ ー 羨む
で羨望の<羨>だ。一方
うらむ ー 恨む
うらめしい ー 恨めしい
名詞形は<うらみ (恨み)>
で<恨>の字が出てくる。
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別のポスト<うらむ、うらやむ>参照
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