Monday, December 30, 2024

<うらやましい>の<うら>

 <うらやましい>は形容詞で、動詞は<うらやむ>。<やむ>は<病む>の意のようだが、問題は<うら>だ。関連語には<うらむ>、<うらめしい>がある。言葉の短さからして<うらむ>が本命の語と見られる。ネットでチェックしてみると<うら=心>と言うのが散見される。だが三音節で少し長いが<こころ>という動かしがたい言葉があるので、<うら=心>と単純ではないだろう。また<こころ>と<うら>で発音がまったくちがう。<うら>は多義語だが(主に派生した意味)

表と裏の<うら>

が本義と見られるが、<こころ>と関連させれば

<こころのうら>、<こころにかくれている>状態をあらわし

うらがなしい
うらさびしい

の説明がつく。

<うらを見せる>は

かくしごと、はかりごと、心のうらにかくれている / かくしている本音 (ほんね) を表にだす。 <裏切り>はこれに関連した言い方ではないか。

<うらが見える>は

かくしごと、はかりごと、本音が表にでてくる、わかってしまう。

裏町、裏道、裏通り、裏街道、裏口、裏方、裏金、裏工作、裏口入学、裏技 (うらわざ)

は表 (おもて) 立って見えない場所、ヒト、モノ、行為だ。

さらには、説明が難しい<うらをかく>。<うら目に出る>という慣用的な言い方がある。


さてタイトルの<うらやましい>に戻って、<うらやましい>は<うらやむ>の形容詞版といっていい。日本語の大きな特徴だが。三人称の場合は、<うらやむ>が使えない。

<太郎をうらやむ>の意での形容詞用法として

太郎うらやましい、太郎うらやましい

は問題ないが、太郎が<うらやむ>の場合は

太郎うらやむ、太郎うらやむ

は変、またはダメで、普通は

太郎はうらやましがる、がっている
太郎がうらやましがる、がっている

となる。あえて<変、またはダメ>な理由を探すと、太郎の<こころのうら>は普通見えないからだろう。やまとことばの繊細なところと言える。

<うらやましい>、<うらやむ>は envious、to envy で、それほどシリアスな問題にならないが、<うらむ>となると、シリアスな問題になる。

漢字変換では

うらやましい ー 羨ましい
うらやむ ー 羨む

で羨望の<羨>だ。一方

うらむ ー 恨む
うらめしい ー 恨めしい

名詞形は<うらみ (恨み)>

で<恨>の字が出てくる。

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別のポスト<うらむ、うらやむ>参照

sptt

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