” 動詞<つく>の統一理論 ” は大それたタイトルだ。
かなり前のポスト
つく、つくる、つかむ; <つくる>の語源 (Nov 2, 2012)
で次のように書いている。
”
くつく(tsu-ku)>は実に様々な意味がある。ワープロの辞書では下記のごとし。
突く
着く
付く 、 関連語:付ける
就く
衝く (的を絞って突く、攻撃する)
尽
く 、関連語:尽きる、尽くす
憑く (もののけが(とり)つく)
搗く (こめ、もちなどをつく)
点く (火がつく、電気がつく)
適当な漢字がないようだが、まりをつく、杖をつく、手をつく、息をつく もある。
漢字を使うと意味が違う、あるいは微妙に違うようだが、もとの大きな意味は共通している。<ある点のようなものにあたる、あてる>、さらに一般化すれば<ある特定の場所に関して方向が意識されて何かがおこる、なにかをおこす(変化)>といったような意味だ。
”
と書いている。
<息をつく>は<うそをつく>関連で最近調べてみたが、これは<息を吐 (は) く>の意。
突く:ある特定の箇所、場所を槍や棒のようなもので瞬間的に<打つ>。図示すれば
l
ーーー>l
l
のようになる。普通は横方向の動きだが、上方向、下方向でもいい。
天井を突く。地面 / 床を突く。
継続してこの動作を何度もすると<つつく>になる。<衝く>は<突く>とほぼ同じ意味だ。
着く: これは図示すると
ーーー>l
となり、<突く>に似ている。
他動詞<付ける>:これも図示すると
ーーー>l
となる。一方対応する自動詞<付く>は
<付く>:他動詞<付ける>の立場を変えたもので、図示すると
ーーー>l 立場
<憑く(もののけが(とり)つく)>も<付く>とほぼ同じ意味だ。
就く: これも図示すると
ーーー>l 仕事や地位
になる。
搗く (こめ、もちなどをつく)、まりをつく、杖をつく:これは下方向への<突く>で、図示すれば
l
l
V
ーーーーー
実際は<突く>が繰り返されるがなぜか<つつく>とは言わない。
息をつく、うそをつく
この<つく>は、上で書いたように<吐 (は) く>で、図示すれば
口 (くち) ーーー>
で出どころが意識された言い方で、目的対象は必ずしもいらない。したっがて別の<つく>と言えそう。
尽 く 、関連語:尽きる、尽くす
これらはややこしい。
尽
く: カネが底を尽
く
<を>を取るので他動詞。図示すると
l
l
V
ーーーーーとなり、下方向への<突く>と同じだ。<底を尽 く>は<底に着く>。<カネが底を尽 く>は<使い果たしてカネがなくなる>ことだ。<カネが果てる>、<カネが果てに着く>とも言える。<果て>は行き止まりで、それ以上行けない、進めないことだ。
尽きる:カネが尽きる、時間が尽きる、我慢が尽きる
自動詞で意味は<終わる>、<なくなる>。言い換えると、これまた<果てに着く>とも言える。
この<尽く>、<尽きる>に関連して<詰 (つ) む >、<詰まる>、<詰める>がある。これらの語も<それ以上行けない、進めない>ことを表しており、<行き止まり、閉塞>のやまとことば、と言える。おもしろいので次回のポストで検討予定。
点く (火がつく、電気がつく)
<火がつく>は中国語では<着火>とか<火着>といい、<終わる>ではなく<始まる>。だが、過程をよく見ると<始まる>は<発火>で、<着火>とか<火着>は火が他のモノに移ることだ。これも図示すると
ー火ーー>l 他のモノ
で火が他のモノに着く、付くことだ。
電気がつく:昔は電気がなっかたので、初めは電気で明りがつく様子を<火がつく>になぞらえたものだろう。
以上でほぼ<つく>の<統一理論>になる。
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