前回のポスト " 動詞<つく>の統一理論 " で
”
この<尽く>、<尽きる>に関連して<詰 (つ) む >、<詰まる>、<詰める>がある。これらの語も<それ以上行けない、進めない>ことを表しており、<行き止まり、閉塞>のやまとことば、と言える。おもしろいので次回のポストで検討予定。
”
と書いたので、忘れないうちにチェックしておく。<行き止まり、閉塞>以外では<動きがとれなくなる>、<行き場、逃げ場がなくなる>、<行き場、逃げ場を失う>、<動くすき間がなくなる>、<動きがとれなくなる>といった言い方がある。
<行き止まり、閉塞>のやまとことばとしては
詰 (つ) む 自他兼用 自動詞 詰まる、他動詞 詰める
が代表のようだ。
<詰む>は古語、または日常でも使うが文語的。自他兼用動詞
王将が詰む 自動詞王将を詰む 他動詞
<詰まる>は自動詞で
王将が詰まる答え、返答が詰まる 太郎は答え、返答に詰まる
王将を詰まらせる 一種の使役 <詰まらす>、<詰まらせる>で他動詞になる。
(ゴミで)ドブが詰まる
<詰める>は他動詞で
<(容器などを)一杯にする>が一般的な使い方。
スーツケースに衣服やお土産 (みやげ) を詰める。詰め込む。
袋に菓子を詰める。 <動くすき間がなくなる>ほど詰める。詰め込む。
<詰む、詰まる、詰める>以外では<つむ>関連と思われる<つつむ、包む>がある。
<包まれる>と身動きがとれなくなり閉塞状態になる。<しばられる>ても身動きがとれなくなるが<閉塞状態になる>とは言わないだろう。<包まれる>は何かに囲まれてしまうことだ。
<囲 (かこ) む> も閉塞状態をつくる。
上記の<詰め込む>の<込む>も閉塞状態をつくる。
自動詞 込む、他動詞 込める
電車がこむ、混む、込む <電車がこむ>と<身動きがとれなくなる>。
<倦 (う) む> は古語、文語的だが<飽きる>の意。<倦 (う) む>は心理的、精神的な閉塞状態と言える。
<止 (や) む>も古語、文語的だが<停止する / させる>、<動きが止 (と) まる>、<動きを止める>の意。
<病 (や) む>も古語、文語的だが、<病む>,<病気になる>と活動がてきでなくなり、ある種の閉塞状態になる。
以上は、意識的に<xむ>、<xxむ>動詞だけを取り上げたが、<xむ>、<xxむ>動詞が多いのは否定できない。おそらく<む>自体に閉塞の意があるのではないか?
<閉塞>の反対は漢語になるが<開放>、<解放>。<開放>、<解放>のやまとことば次回検討予定。
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末尾
デジタル大辞泉 「詰む」の意味・読み・例文・類語
[動マ五(四)]1 布地などの目が密になる。「目の―・んだ織物」
2 将棋で、王将が囲まれて逃げ場がなくなる。「あと一手で―・んでしまう」
3 行きづまる。窮する。「理に―・む」
[動マ下二]「つめる」の文語形。
学研全訳古語辞典
つ・む 【詰む】
活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}
勤務場所に控えている。詰める。
出典冥途飛脚 浄瑠・近松
「これのは今朝から庄屋(しやうや)殿へつめられ」
[訳] うちの人は今朝から庄屋殿のところへ詰めておられ。
活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}
① ぎっしりと入れる。いっぱいにする。
出典茶壺 狂言
「まんまと茶をつめて下りまする所に」
[訳] 首尾よく茶をぎっしりと入れて下ります所に。
② すき間に物を入れて動けなくする。
出典落窪物語 二
「打ちたたき、押し引けど、内外(うちと)につめてければ、ゆるぎだにせず」
[訳] たたいたり、押したり引いたりしても、内にも外にもすき間に物を入れ動けなくしてあるので、ゆらぐことさえない。
③(相手を)行き詰まらせる。追い詰める。
出典徒然草 二四三
「問ひつめられて、え答へずなり侍(はべ)りつ」
[訳] 問い詰められて、答えられなくなってしまいました。
④ 短くする。縮める。
出典風姿花伝 二
「腰膝(ひざ)を屈(かが)め、身をつむれば」
[訳] 腰や膝をかがめ、からだを縮めると。
⑤(家計を)切り詰める。倹約する。
出典阿波鳴渡 浄瑠・近松
「わしが身をつめ、三度つける油も一度つけ」
[訳] 私が身代を切り詰め、三度つける油も一度だけつけ。
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